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露天風呂は360度のパノラマがすごい。
といっても、高所の見晴らしの話ではなく、三方が切り立った山や硫黄がかった色した崖に囲まれ、前方が谷方向を見下ろすという感じ。湯の温度も適度に熱い。お湯は目の前の崖から竹樋を通じて引いているのがよく見える。
秘湯巡りが趣味。
そこで、hodakaの秘湯100選シリーズ。
第1巻は鶴の湯です。
私の一番のお気に入りです。その理由:
1. まさに秘湯であること。
2. 自然とのバランスが絶妙。自然に抱かれた雰囲気が何ともよい。
以上が全体の雰囲気に関する点とすると、個別には、
3. 部屋と湯屋との往復が遠くもなく、近くもないこと。湯屋が一つでなく、次はどれにしようかと湯屋選びも楽しい。
4. 総じて客が静かで、騒がしくないこと。棟がいくつかに分かれているとか、或いは環境がなせる技か?
5. 食事、とくに華美でなく、粗食でもない、量も最適。夕食の芋汁は本当に絶品。
6. もてなし、嫌みがないこと。押しつけ、わざとらしさ、高慢、というものがなくごく自然。秘境感に浸っている客をそっとしておいてくれること。
お気に入りの理由を数えれば他にもっとありそうですが、やはり言葉だけでは伝えきれないものが・・・
日本人というのは古来より、滝に打たれ、あるいは海や川に身を沈め、その浄水を全身に浴びて身を浄めてきたという希にゆかしい民族である。あのイザナギが黄泉の国から戻ったとき身の穢れを祓ったと言うから、その由来はこの国のかたちができあがる前の伝説時代にさかのぼるらしい。日本人にはそういう「潔」を旨とするDNAが脈々と受け継がれてきたのである。
その昔、若い頃の話。例によって、彼の下宿で酒盛り(あるいは麻雀)が始まると、彼は決まって自慢げに物語る。
洒落た都会のホテルならともかく、秘湯の宿となればこんなサービスを期待してはいけない。だいいち、秘湯というのは山奥である。山奥に行き着くには時間がかかる。すぐ湯に飛び込んで汗を流したい一心である。ロビーでコーヒーなどふるまってもらっても、それはサービスの押し売りというものである。
96年秋、紅葉真っ盛りの乳頭温泉郷・鶴の湯(秋田)を訪ねて以来、すっかり温泉、それも秘湯にはまってしまった。スタンプ10個貯めると1泊ご招待なんて特典もあり、もっぱら「日本秘湯を守る会」会員宿を訪ねて、先頃3枚目(30個)が満願成就。
噂通り素晴らしいところ、期待を上回って感動したところ、期待を裏切られたところ、など色々。そこで、「私の」独断による温泉考を思いつくままに書き連ねていこうと思いたったわけ。
例によって全編「偏見」に満ちているし、なんら科学的根拠にも基づかない駄弁にすぎないことをお断りしておく。