hodaぶろぐる - 秘湯勝手連カテゴリのエントリ
湖畔の宿にサザンカの宿、それから北の宿、♪あなた、変わりはないですか?♪
宿にまつわる演歌にはどことなく哀愁が漂う。拓郎の「旅の宿」もよいが、旅愁はやはり雪の宿でなくちゃ。そこで今回は冬の温泉宿についてだ。
須坂からリンゴ畑や田に囲まれた長くて緩い登りの道を行く。山田温泉、五色温泉を抜けるようになると、いよいよ山に入ったと思う。七味温泉入口を過ぎてぐいと勾配のきつい山田牧場への道をたどる。
宿の主人はじめスタッフの心づくしのもてなしの心が嬉しい。
たとえば、毎晩の天体望遠鏡による観望会(曇雨天は室内でスライド上映)、クロスカントリーの無料指導・無料用具、観望会後の御幣餅の振る舞い、野鳥が間近に見えるエサ台の設置等々。
ここ高峰高原では春夏秋冬それぞれの楽しみ方ができるが、そのため道路の整備や環境の維持など我々の目に見えないところで、日夜心を配っている様子に秘湯を守る心意気を感じた。
湯は源泉を適温に温めて24時間のサービス。
まったり、という感じの密度の濃い泉質で、これこそ温泉という感じ。よく温まる。皮膚もスベスベ。若旦那の後藤英男さんに風呂の入り方まで伝授してもらった。
ここは山好きな人たちはじめファンも多い。私も、今回は冬だったが春、夏、秋にそれぞれ再訪してみようと思う。
露天風呂は360度のパノラマがすごい。
といっても、高所の見晴らしの話ではなく、三方が切り立った山や硫黄がかった色した崖に囲まれ、前方が谷方向を見下ろすという感じ。湯の温度も適度に熱い。お湯は目の前の崖から竹樋を通じて引いているのがよく見える。
秘湯巡りが趣味。
そこで、hodakaの秘湯100選シリーズ。
第1巻は鶴の湯です。
私の一番のお気に入りです。その理由:
1. まさに秘湯であること。
2. 自然とのバランスが絶妙。自然に抱かれた雰囲気が何ともよい。
以上が全体の雰囲気に関する点とすると、個別には、
3. 部屋と湯屋との往復が遠くもなく、近くもないこと。湯屋が一つでなく、次はどれにしようかと湯屋選びも楽しい。
4. 総じて客が静かで、騒がしくないこと。棟がいくつかに分かれているとか、或いは環境がなせる技か?
5. 食事、とくに華美でなく、粗食でもない、量も最適。夕食の芋汁は本当に絶品。
6. もてなし、嫌みがないこと。押しつけ、わざとらしさ、高慢、というものがなくごく自然。秘境感に浸っている客をそっとしておいてくれること。
お気に入りの理由を数えれば他にもっとありそうですが、やはり言葉だけでは伝えきれないものが・・・
日本人というのは古来より、滝に打たれ、あるいは海や川に身を沈め、その浄水を全身に浴びて身を浄めてきたという希にゆかしい民族である。あのイザナギが黄泉の国から戻ったとき身の穢れを祓ったと言うから、その由来はこの国のかたちができあがる前の伝説時代にさかのぼるらしい。日本人にはそういう「潔」を旨とするDNAが脈々と受け継がれてきたのである。
その昔、若い頃の話。例によって、彼の下宿で酒盛り(あるいは麻雀)が始まると、彼は決まって自慢げに物語る。
洒落た都会のホテルならともかく、秘湯の宿となればこんなサービスを期待してはいけない。だいいち、秘湯というのは山奥である。山奥に行き着くには時間がかかる。すぐ湯に飛び込んで汗を流したい一心である。ロビーでコーヒーなどふるまってもらっても、それはサービスの押し売りというものである。