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2024/4/18 22:14
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品種改良
夏蜜柑ときに妥協の甘さかな
最近の柑橘類は甘い。
とくに感じるのが、八朔、夏蜜柑の類いである。
両者とも酸っぱさからは免れなかったのが特徴で、子供の頃はあまり好きではなくそれが大人になっても手を出しそびれる要因にもなっていた。
ところが、ここ何年か知人の手になる八朔、夏蜜柑をいただいて、それまでの固定観念ががらりと打ち破られたのである。
上品な酸っぱさは残したままでいて、甘くてうまさがあり食べやすい。
とくに夏蜜柑などはただ酸っぱさが舌を刺激していたのが嘘のように、まるまる一個をぺろりといただけるほどうまい。これは、きっと海外のオレンジや国内のさまざまな甘い柑橘に負けまいと、関係者が長年品種改良に取り組んできた成果ではないかと思うのだがどうだろうか。夏蜜柑は酸っぱいものだと突っ張ってばかりいては生き残れないと、自ら折れたのかもしれない。
午後のデザートに、ソフトボールほどの大きさの夏蜜柑を一個ずついただく毎日である。
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2024/4/17 18:51
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夏日
好試合雨に断たれて春惜む
昨夜は激しい雨音に二度目が覚めた。
窓の二重サッシを通しても聞き取れるほどだから相当の雨である。
折しも昨夜の甲子園球場では、見応えのある投手戦が延長に入ろうかというとき、同じように雷をともなった激しい降雨で引き分けとなったばかりである。
予報でも昨日は局地的な雷雨の警告があったのだが、当地には深夜に及んでやってきたということだろう。
雷雨が明けて今日は黄砂の到来。一時的には二上山も隠れるほどの視程だった。まだまだ明日もやってくるらしいので、夏日の日中でも窓を開けられない日は続く。
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2024/4/16 19:01
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入職
制服の板につきもし花は葉に
この春入職したと思われる若者が朝夕通る。
通勤はブレザー、髪は短くあるいは長いのは束ねると決まっているらしく、清潔感が見る目にもここちいい。
住宅地の先には大きな介護付き病院があって、おそらくそこの職員だと思われる。
職員の数も多くて毎年何人もの新人が入職するだろうから、この季節は決まった時刻にフレッシュな顔ぶれが通るのはいいものである。
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2024/4/15 19:57
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聴覚
雲雀の目もてドローンの揚がりけり
隣地に家が建ったので雲雀が上空を舞わなくなった。
聞こえるのは道路一本を隔てた農地から。
必然的に雲雀の声も遠い。
それでもぐんぐん上昇する気温に彼らの声はかしましい。恋もしくは子育てのシーズンなんだろう。
目で追う楽しみは減ったが、耳だけでも十分楽しめる気づきがあったのは嬉しい。
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2024/4/14 17:13
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たじろむ
青深み梳かねばならず梅若葉
夏日が続く。
桜に浮かれていたのは数日前のこと。
庭の木に弾みがついて梅も柿も若葉の候である。もはや春の季語などのんびりと詠んでる場合ではなさそうである。
とりわけ早梅の枝などは茂り出してきて、早く剪定してやらねば梅雨時には蒸れて虫が湧きそうである。
それにしても急な暑さに日中の外での作業にはたたじろんでしまう。 The post たじろむ first appeared on 一日一句 奈良暮らしから.
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2024/4/13 17:30
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夏仕様
散髪の椅子の倒れて目借時
あれもしてこれもして、そして散髪もして。
一息ついたらたちまち睡魔が襲ってくる。それはこの時期蛙に目を借りられるからだという言葉遊び。
散髪屋で髭を剃るために回転椅子を倒されたらそれはもう心地最高の居眠りの時間である。
だが、それは昔の話し。いまは散髪と言っても、何年も前から自己散髪、今風に言えばセルフカットである。
左右少々不揃いでも誰にも文句言えないが、鏡で覗いて手で髪をなぞってみてとくに違和感がなければそれでオーケーである。
今日より更衣のついでに、髪も短くして一気に夏仕様となった。
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2024/4/12 18:15
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ヒートテック
軽暖の日陰に逃げて小事なす
「軽暖」。これより数日夏の季語の日が続くようである。
日向での作業は耐えがたく、ものの影によってようやく用が足せるような日であった。それでもものによっては日向でせねばならないこともあるのがきついことである。
終わってみれば、体力が落ちているとみえてめっきり体が重い。
考えてみればまだ冬服に近いものを着ているのも一因なのだが、朝方はまだまだひんやりしているので自然そうなってしまう。
明日はさすがにユニクロヒートテックは止めた方がよさそうだ。
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2024/4/11 21:44
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溶け込む
新入生おくせず下校集団に
新学期が始まった。
はじめは給食がないのかどうか、帰りが早いような気がする。
登校も下校もご多分にもれず集団には変わりがなく、背もずいぶん大きな上級生に混じっていかにも新年生とおぼしきランドセルを背負わせられてるのがいて微笑ましい。
とは言っても、今の子たちというのは先輩に必要以上の遠慮というものがないようで、伸び伸びしているのがたのもしい。幼稚園にしても保育園にしても、幼い頃からの集団生活になれていて新しい環境でもごく自然に溶け込めるのだろうか。
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2024/4/10 19:27
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悲鳴
ものの芽の怒濤にわれも待つたなし
ひと雨で景色が一変した。
雑木山はいっせいに新芽を吹いて薄緑の衣をまとい満開を過ぎた山桜も影が薄い。いっぽう、目を地上に転じると放棄田も野も草たちが萌えて命に満ちているようだ。
こうなると、いろいろサボっていた庭仕事だの、菜園の準備だのがもう待ったなしで腰を上げねばならなくなった。
三ヶ月に一度の歯科健診を済ませると、さっそくの野良仕事。部屋の中ではまだ肌寒い感じだが、外は紫外線も強くて気温もぐんぐん上昇。なまった体が悲鳴を上げた一日となった。
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2024/4/9 18:58
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くすみ
花冷の水をたたへしプールにかな
町営ウオーターパークの桜もどうやらピークを過ぎたようである。
駅へ向かう途中にあるので、いやでも目に入ってくる施設と立派な染井吉野。
今年は開花から満開まであっという間に到達したようで、きょうの冷たい雨はさながら花散らしの雨でもある。
鎮守の森の桜も年々の老化で細くなってくるように思えるうえ、彩度の衰えも隠せないのが、今日の雨でさらにくすんだ色になっている。
落花の頃檜花粉もピークを迎えるらしいが、この雨で一息つける鼻炎である。
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2024/4/8 18:57
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けなげ
矮犬の野太く咆えて園うらら
最近家で飼うようになってさらに小さくなった。
伝統的な犬がめっきり少なくなって、改良された矮犬全盛の時代である。これが極端になると骨折しやすくなったりとか、特有の病気が多くなるとか、人間の都合によって小さな命をもてあそぶ弊害もでている。
何の犬種か分からない、ごく小さな犬とすれ違ったら、いきなり体に似合わない太い声で咆えられたので驚いた。けなげにも主人を守ろうとしているようで微笑ましくも思えるほどである。
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2024/4/7 19:15
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配偶者
初燕各戸の軒場さぐるかに
家の軒場を探るような動き。
身近に今年初めて見たツバメである。
そう言えばここ数年ご近所には巣をかけないようである。引っ越してきた当初は新しい家の軒場にいくつも巣を見かけたのだが。或る年から鴉が襲うようになったのが原因と思われる。
今朝のぞきにきたツバメもおそらく巣をかけず仕舞いとなるだろうと思えば残念である。
単身で来ていたので、巣の前にまずは配偶者を見つけなければ。
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2024/4/6 18:05
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園芸
チューリップ歌詞なぞるかに赤白黄
お隣さんが上手に咲かせている。
まるで童謡のように赤(橙)、白、黄色と咲き分けて、おおきな花片が風に揺れているのも歌っているようである。
車で15分ほど行けば大きな県立公園があって、今ごろは何万本ものチューリップを目的に多くの県民が集まるが、駐車場も道路も混雑なくお隣のお庭ですませられるのがありがたい。
お隣の園芸の腕前もだいぶ上がってきたようだ。
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2024/4/5 19:23
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集約
花曇出入り激しき道の駅
陽気がよくなると人の動きも活発になるようだ。
行くところ行くところ桜が咲いて、目を奪われるシーンが何度か。
街の中には学校に、公園に、町庁舎などなど見飽きることがないが、不思議に大和川沿いには少ない。支流の佐保川、飛鳥川、高田川などはよく知られるが、合流して本流となると途端にあの広い河原は寂しいものとなる。目立つのは増水時に流れてきたゴミが散らばる水際である。盆地の雨という雨を集めるだけでなく、ゴミも集約されるというわけである。
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2024/4/4 19:20
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シャベル
掘り後の土竜穴めく野蒜かな
意外に根が深い。
十センチくらいは掘ってようやく地下茎を拝めるほどである。
そうとは知らず今までは軽く抜けるものだと思っていたので、力任せに引っこ抜こうとすると根本からぷつんぷつんと切れるばかりで、これは野蒜ではないのかとあきらめていた。
ところが、折れた茎の匂いを嗅ぐとあきらかに葱系特有の匂いがするので、今日は小さなスコップを手に再度挑戦である。
しかし、深さ15センチしか入らないスコップでは粘土質の重い土を掘り返すのは困難。そこで次はシャベルの出番となる。シャベルなら三十センチくらい掘れるので、ようやく地下茎部分を傷つけないでそっくり掘り出せる。
掘り出した後はぼっこり穴が開いて、一帯はまるで土竜が暴れ回ったような無様な状態となった。
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2024/4/3 19:36
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絵画的
雲湧いて墨絵めく山花灯し
平群を囲む山には雨後の雨がわいてまるで墨絵のようである。
そういうモノクロの世界に淡いピンクのアクセントをつけているのが桜である。
すぐ真下で花を見上げるのもいいが、こうして遠くからまるで絵画を眺めるようにして楽しむのもまたよきかなである。
ところで、町には至る所に染井吉野があるが、よく見るとそれぞれ微妙に咲き具合が違うようである。早いところでは三分咲きくらいまで進んでいるかと思えば、まだ開花したばかりというものまで、意外にバラツキがあるのである。特徴的には川沿いの桜がそうじて遅いようだ。
この雨があがり晴れ間が出てくればまた別の絵が眺められるかと思うとわくわくしてくる。
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2024/4/2 18:44
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大樹
目覚めては鎮守の森の花明り
朝起きて二階から西の方を眺める。
百数十メートル先、やや視線をあげると小高い八幡さんの森が見える。鶯などの声もよく聞かれる森である。
今朝はそのあたりが薄明るい。開花したのが目にもはっきりと分かるような白さに輝いている。
欅などの大樹に負けまいと、桜の樹も三十メートル以上も見上げるような高さにまで育ち、それが何本かあって森の裾を取り巻くように開花の時を迎えたのである。
これより満開に向けてそのボリュームをましていくのだが、落花しつくすまでは意外に長く毎朝起床する度の楽しみとなる。
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2024/4/1 19:21
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いつかくること
エイプリルフールならましかばの訃報かな
半世紀余の友人が亡くなったと。
すでに密葬で済ませ、四十九日の納骨も済ませた後の連絡である。
三ヶ月前の寒い季節、風呂場で心筋性ショック死という。同期のなかでは最も若いだけに惜しまれるが、考えてみればピンピンコロリだったわけで、理想的な死かもしれない。
身の回りに同年代の死が多くなってくると身に迫るものを禁じ得ないが、それもしばらくのことで相変わらずノー天気に下手な俳句を詠む毎日に戻るのだが。
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2024/3/31 17:36
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几帳面
掃除機の回り道する春炬燵
暖かくなると邪魔に見えてくるものがある。
炬燵がその代表であろう。
部屋の真ん中で大きな顔をされれば除けて通るも面倒だし、まず掃除機をかけるにも四角く掃かねばならないとあって手間が増える。
こんなとき自動掃除機ルンバだったらどういう動きをするのか聞いてみたくなる。やはり辛抱強く門も四角四面に几帳面にきれいにしてくれるのだろうか。
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2024/3/30 20:00
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華やぐ
初花にさばしる水の速さかな
長雨に川は増水している。
信貴山から落ちる沢もいちだんと音を高くして驚かされる。
今日は黄砂が心配される予報だったが、久しぶりの好天に誘われて町歩きを楽しんだ。
どうやら当地では開花したようで、これから十日間ほどは各地から賑やかな花便りが聞かれるはずである。
今夜はタイミングよくNHKBS放送で京都・滋賀・奈良の源氏物語ゆかりの寺社などの桜をライブで紹介する番組もあり、いよいよ一年でもっとも華やぐ季節が始まるというわけだ。
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