発行日時 |
見出し |
2024/4/8 18:57
|
けなげ
矮犬の野太く咆えて園うらら
最近家で飼うようになってさらに小さくなった。
伝統的な犬がめっきり少なくなって、改良された矮犬全盛の時代である。これが極端になると骨折しやすくなったりとか、特有の病気が多くなるとか、人間の都合によって小さな命をもてあそぶ弊害もでている。
何の犬種か分からない、ごく小さな犬とすれ違ったら、いきなり体に似合わない太い声で咆えられたので驚いた。けなげにも主人を守ろうとしているようで微笑ましくも思えるほどである。
|
2024/4/7 19:15
|
配偶者
初燕各戸の軒場さぐるかに
家の軒場を探るような動き。
身近に今年初めて見たツバメである。
そう言えばここ数年ご近所には巣をかけないようである。引っ越してきた当初は新しい家の軒場にいくつも巣を見かけたのだが。或る年から鴉が襲うようになったのが原因と思われる。
今朝のぞきにきたツバメもおそらく巣をかけず仕舞いとなるだろうと思えば残念である。
単身で来ていたので、巣の前にまずは配偶者を見つけなければ。
|
2024/4/6 18:05
|
園芸
チューリップ歌詞なぞるかに赤白黄
お隣さんが上手に咲かせている。
まるで童謡のように赤(橙)、白、黄色と咲き分けて、おおきな花片が風に揺れているのも歌っているようである。
車で15分ほど行けば大きな県立公園があって、今ごろは何万本ものチューリップを目的に多くの県民が集まるが、駐車場も道路も混雑なくお隣のお庭ですませられるのがありがたい。
お隣の園芸の腕前もだいぶ上がってきたようだ。
|
2024/4/5 19:23
|
集約
花曇出入り激しき道の駅
陽気がよくなると人の動きも活発になるようだ。
行くところ行くところ桜が咲いて、目を奪われるシーンが何度か。
街の中には学校に、公園に、町庁舎などなど見飽きることがないが、不思議に大和川沿いには少ない。支流の佐保川、飛鳥川、高田川などはよく知られるが、合流して本流となると途端にあの広い河原は寂しいものとなる。目立つのは増水時に流れてきたゴミが散らばる水際である。盆地の雨という雨を集めるだけでなく、ゴミも集約されるというわけである。
|
2024/4/4 19:20
|
シャベル
掘り後の土竜穴めく野蒜かな
意外に根が深い。
十センチくらいは掘ってようやく地下茎を拝めるほどである。
そうとは知らず今までは軽く抜けるものだと思っていたので、力任せに引っこ抜こうとすると根本からぷつんぷつんと切れるばかりで、これは野蒜ではないのかとあきらめていた。
ところが、折れた茎の匂いを嗅ぐとあきらかに葱系特有の匂いがするので、今日は小さなスコップを手に再度挑戦である。
しかし、深さ15センチしか入らないスコップでは粘土質の重い土を掘り返すのは困難。そこで次はシャベルの出番となる。シャベルなら三十センチくらい掘れるので、ようやく地下茎部分を傷つけないでそっくり掘り出せる。
掘り出した後はぼっこり穴が開いて、一帯はまるで土竜が暴れ回ったような無様な状態となった。
|
2024/4/3 19:36
|
絵画的
雲湧いて墨絵めく山花灯し
平群を囲む山には雨後の雨がわいてまるで墨絵のようである。
そういうモノクロの世界に淡いピンクのアクセントをつけているのが桜である。
すぐ真下で花を見上げるのもいいが、こうして遠くからまるで絵画を眺めるようにして楽しむのもまたよきかなである。
ところで、町には至る所に染井吉野があるが、よく見るとそれぞれ微妙に咲き具合が違うようである。早いところでは三分咲きくらいまで進んでいるかと思えば、まだ開花したばかりというものまで、意外にバラツキがあるのである。特徴的には川沿いの桜がそうじて遅いようだ。
この雨があがり晴れ間が出てくればまた別の絵が眺められるかと思うとわくわくしてくる。
|
2024/4/2 18:44
|
大樹
目覚めては鎮守の森の花明り
朝起きて二階から西の方を眺める。
百数十メートル先、やや視線をあげると小高い八幡さんの森が見える。鶯などの声もよく聞かれる森である。
今朝はそのあたりが薄明るい。開花したのが目にもはっきりと分かるような白さに輝いている。
欅などの大樹に負けまいと、桜の樹も三十メートル以上も見上げるような高さにまで育ち、それが何本かあって森の裾を取り巻くように開花の時を迎えたのである。
これより満開に向けてそのボリュームをましていくのだが、落花しつくすまでは意外に長く毎朝起床する度の楽しみとなる。
|
2024/4/1 19:21
|
いつかくること
エイプリルフールならましかばの訃報かな
半世紀余の友人が亡くなったと。
すでに密葬で済ませ、四十九日の納骨も済ませた後の連絡である。
三ヶ月前の寒い季節、風呂場で心筋性ショック死という。同期のなかでは最も若いだけに惜しまれるが、考えてみればピンピンコロリだったわけで、理想的な死かもしれない。
身の回りに同年代の死が多くなってくると身に迫るものを禁じ得ないが、それもしばらくのことで相変わらずノー天気に下手な俳句を詠む毎日に戻るのだが。
|
2024/3/31 17:36
|
几帳面
掃除機の回り道する春炬燵
暖かくなると邪魔に見えてくるものがある。
炬燵がその代表であろう。
部屋の真ん中で大きな顔をされれば除けて通るも面倒だし、まず掃除機をかけるにも四角く掃かねばならないとあって手間が増える。
こんなとき自動掃除機ルンバだったらどういう動きをするのか聞いてみたくなる。やはり辛抱強く門も四角四面に几帳面にきれいにしてくれるのだろうか。
|
2024/3/30 20:00
|
華やぐ
初花にさばしる水の速さかな
長雨に川は増水している。
信貴山から落ちる沢もいちだんと音を高くして驚かされる。
今日は黄砂が心配される予報だったが、久しぶりの好天に誘われて町歩きを楽しんだ。
どうやら当地では開花したようで、これから十日間ほどは各地から賑やかな花便りが聞かれるはずである。
今夜はタイミングよくNHKBS放送で京都・滋賀・奈良の源氏物語ゆかりの寺社などの桜をライブで紹介する番組もあり、いよいよ一年でもっとも華やぐ季節が始まるというわけだ。
|