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2024/5/15 19:12
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リスク分散
玉葱の粒まちまちの軒端かな
半年かけて収穫にこぎつけた。
やってみるとけっこう難しいものだ。
病気との戦いだったり、それをクリアしたら今度は太る前の薹立ちに悩まされたり。
菜園を見渡してみると、こうしたトラブルを避けるためにか早採りができる、いわゆる極早生タイプが大半を占めているようである。
早生というのは保存が長く効かないというので、年明けまで保存可能という晩生にも挑戦してみたがなかなか難しいものだ。
リスク分散のために早生タイプも作ったのがようやく収穫となって軒先にぶら下がっている。
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2024/5/14 20:01
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目論見
いびつなる形も愛でて苺摘む
苺栽培が初めてうまくいったようである。
これまで何度かプランターで挑戦したのだが、どれも虫、とりわけなめくじに食われてろくに育たなかったのである。
運良く畑では虫の害もなく、すくすく育ってくれて今月何回か収穫することに成功した。意外に甘くて、しかもどれも粒が大きくわれながらよくできたと思う。
苺苗というのは意外に高くて今年は数多くというわけにはいかなかったが、さいわい苺というのは実が終わるとクローンの株を多く産むのでこれを来年の苗に当てることができる。今年の成功体験に味をしめて来年は洗面器三杯分の収穫をもくろんでいるのだがさて。
苺は種から作るのではなくクローンからしかできない、素人は。種はあのぶつぶつ一個だけど、各県の農業試験場秘伝の交配だから同じような株は再現できないのである。
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2024/5/13 16:51
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後の祭り
なめくじら弾くも爪の不調法
雨になると途端に姿を現す。
ここのところ苗の虫喰いが目立つのはこいつのせいだった。
昼間は隠れているが夜になると融通無碍にはいまわり食害をもたらすようだ。
苗をしまい込む段になってまだ小さいやつを見つけたのでその場ではじき飛ばそうとしたのだが、硬い爪の一撃をもってしても簡単にははがれない柔らかさと粘りけには舌を巻いてしまった。
こんなことなら、やはり常套手段としての割り箸をもってくるんだったと悔やむが後の祭り。
何度もなんども水道で洗わないとぬめりの感触がいつまでも去らないのだった。
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2024/5/12 19:20
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うら悲し
黄菖蒲のそぼふる雨の畦にかな
涼風に恵まれた一日。
窓から入る風はむしろ肌寒くさえ感じる。午後からはときおり小雨がぽつりぽつりと降ったり止んだり。ひどくは降らないと踏んで遅れがちの農作業へ。とりあえず胡瓜やトマトのネットを張るだけの軽作業だけの予定だ。
主を失った田の畔に灯った黄菖蒲が目を引いた。雀の鉄砲におおわれ水も入らない田に添うような雨の菖蒲はうら悲しい。
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2024/5/11 19:35
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食欲あり
下げ止まりせず夏痩と思へども
このところ体重が下げ止まらない。
いつものサイズの作業ズボンを買ったところ、がばがば状態。ウェストが80センチを大きく切ったようである。
喪服はじめもっている洋服はどれも86センチ。それからするとこの数年で8センチは減ったようである。
コロナ禍のはじめ頃体重63キロくらいだったのが、いまでは5キロもマイナスして高校のころの体重に戻った。
食べる量は若いときに比べ少なくはなっているが、目立って食欲がないわけではない。
一週間で1キロ痩せるのはさすがにやばいと健診を受けることにした。結果は二週間後。
何かあっても不思議ではない年齢なのだが。
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2024/5/10 19:18
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洗車
老鶯やはや二度回す洗濯機
久しぶりの快晴。
肌寒くさえあった昨夜だったが、案の定今朝は放射冷却でさらに冷え込み十度を切ったようである。
更衣シーズンでもあり、あれこれ洗濯機にぶちこむ日である。
があがあ廻る音に混じって鶯の声が聞こえる。
昨日は曇りがちかつ涼しかったので夏タイヤ交換、二年ぶりの洗車とくたくただったが、気温が上がるというも晴れた今日もやることが多い。
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2024/5/9 17:18
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初夏の旬と言えば
山国の舌よろこばせ初鰹
先月とっくに食べたのだけどあれはどこの国の産だろうか。
臭み消しの効果を狙うのかどうか、蒜と生姜のすり下ろしは必須。ぽんず醤油にさらに檸檬をしぼったものといっしょに口に入れる。
厚ければ厚いほど歯をよろこばす。
ああ、その瞬間、うまいものなしと言われる山国において崇高の旬の味。
筍とならんで春あるいは初夏を代表する旬である。
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2024/5/8 21:43
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胎生
得物手に戻れば失せし蝮蛇かな
早々と蝮の報。
誰か打ち棄てた骸を見たという。
この時期は産卵前だから、赤ん坊の蝮はまだ早いだろう。
聞けば、蝮は胎生だそうで初秋に交尾し翌夏〜初秋に出産するらしい。菜園でよく見る20センチほどのものは出産直後の赤ん坊のようである。こいつは人が近づけば逃げるのでまだいいが、成長したものは挑戦的で気をつけなければならない。
草を生やす農法なのでこれはよほどの注意ものだ。
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2024/5/7 17:19
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各地
而して田は捨てられき蛇苺
主が病に倒れて二年目。
昨年は助っ人が草取りから何まで田の管理をされていたが、今年はもう五月というのに春の耕しも入らず草が生い茂ってきた。一面雀の鉄砲に覆われて、このままではこの夏には雑草だらけになってしまいそうだ。
畔には蛇苺と思われる真っ赤な実が顔を出し、近くに寄るのさえうとましく思えてくる。
これまで無農薬栽培してきた田でそれなりに維持してきた田も、わずか一年で荒れ果ててしまうだろう。こうした形で至る所で田が捨てられ、そして集落が捨てられてゆくのだろう。
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2024/5/6 19:43
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太古から
ともに莢剥いてふたりの豆の飯
毎日が豆の日。
家庭菜園をやると、豆ならば豆、菜の花なら菜の花、胡瓜なら胡瓜と毎日毎日同じものが食卓に並ぶ。
旬のものだから体にもいいはずだし別ににいやでもないけれど、さすがにちょっとは飽きてくるものだ。
とくに、豆の場合はその期間が長くなる。
莢豌豆、スナップエンドウに始まって、実豌豆、インゲン、ササゲと夏まで切れ目がない。
ただ、どれをとっても保存がきいて重宝な作物と言えるし、そもそも豆は原始の昔から食べられてきた息の長い食物である。栄養価も高く体にいいし、メニューも多彩に考えらる。夏の枝豆、秋の大豆、小豆、どれもありがたい食べ物であることにかわりない。
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2024/5/5 17:39
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上向く
固め打ちして翔平の夏来る
何ともいい時間に中継が始まる。
試合が始まるLA現地時間夕方6時というのは、サマータイム当地との時差16時間を計算すると18プラス16で34、これから24を引けば10。つまり日本では午前10時。朝のルーチンが終わり新聞も一通り目を通せばきっかり中継スタートとなるので、ついスウィッチを入れてしまう。
東部地区でのアウェイとなれば3〜4時間は早くなるので、朝の忙しい時間に重なるので結果をニュースで知ることになるのが多い。
昨日、今日リーグ最大のライバル・アトランタブレーブス相手に2勝。大谷翔平の打撃も上向いてきたか。
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2024/5/4 20:10
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しっぺ返し
柚子咲いて新芽の棘のやはらかき
揚羽が卵を生みに来ている。
傍に寄れば柑橘独特の強い香り。これに吸い寄せられるのだろう。観察してみればそこここに産みつけられた一ミリほどの黄色い卵がついている。
夏になると棘が固くなってうっかり手を伸ばそうものなら痛いしっぺ返しがあるところだが、この時期はまったく恐くない。
今後のためにも柔らかい棘は指でぽきぽき折ることにしよう。
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2024/5/3 9:18
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待ったなし
苗床の八十八夜踏み場なく
一日が八十八夜。
農事暦で言うと、遅霜もなくなってものの種蒔く季節到来。
育ててきた夏野菜の苗も天候に恵まれて今年は順調な仕上がり、というよりも早く植えてくれろと言うばかりに生命力があふれている。体調がなんとなくすぐれず体が重いので、この暑さに畑の長時間作業がうっとうしく感じられてなかなか思うように進まない。
あした、あしたと思っている内に明後日はもう立夏。待ったなしである。
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2024/5/2 19:08
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おざなり
知らぬ間に十薬匂ふ庭ぞかし
つーんと強い匂いがする。
これは紛れもない十薬の匂い。
種を蒔いたとか、苗を植えたとかまったく身に覚えのないものだ。
隣地に家が建って半日日陰となり、しかも湿り気を帯びがちになったせいだと思う。
それにしても、条件が整えばちゃんと環境に適した種類の生物が生えてくる自然の営みには感心するばかりである。
おざなりのままにしておいた主のせいでもあるのだが。
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2024/5/1 17:05
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雨の公園
雨粒のしづる鉄棒若葉冷
時間の経過とともにぐんぐん気温が下がってきた。
連休と言えど雨の公園には人影はみあたらず、遊具はどれもみな淋しそうである。
子供たちがぶら下がる鉄棒には雨粒が垂れるだけ。そこだけが光っている。
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2024/4/30 19:08
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便箋
母の手の癖思ひ出す春の闇
遠い昔の話しになった。
たまにくる母の手紙は旧仮名遣い。いつも必要なことしか書かない。便箋一枚フルに使われたことはないほど短い。それでも白紙の便箋がかならず一枚ついていた。添え紙は返信のためにとか、本当はもっと書きたいという気持ちを表す意味とか、内容が透けないようにとかの意味があるそうだが、昔の人はみなそうしていたものだ。
そんな古い話を思い出しながら、夜の時が流れてゆく。
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2024/4/29 19:03
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甦る
定刻に寝ては目覚めてゴールデンウィーク
連休だからといってふだんと何も変わらない。
ごく平穏な日々の連続である。
天気によって行動パターン、ルーチンに変化はあるものの基本は同じようなものである、
どちらかというと、天気が悪ければやりたいこともできなくなることもあって時間が余りがちで、うたた寝というよりしっかりめの昼寝になる傾向がある。リズムで言えば後者は夜の眠りが浅くなりがちなので避けたいところだが、あまり自分を叱らない方がストレスもなくて大事だと思うので成り行きに任せてはいるが。
秋に蒔いた菊菜の一生をまっとうさせてやりたくて、刈らずにおいたのが薹立ちして花をつけてきた。その名の通り菊そのものの形で感動ものである。同じ種からでもぼかしが入ったもの、色が黄みがかったり橙がかったり、花片の枚数もみんな同じではなく。それぞれが違ってまたいい。仏壇に供えようと何本か剪ってきて、バケツで給水させたところ剪られたときはしんなりとしてきたのが生き生きと甦ってきた。愛しいものである。
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2024/4/28 19:21
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微笑ましく
すかんぽを吸へば連れまた手にとりぬ
真夏日とも言われる今日。
夕方になってぞろぞろ散歩に出る人を多く見かけた。
具合いいことに風も出てきてぐんと涼しく感じるようになったのはさいわいだった。
散歩を楽しんでおられた老夫婦が田の周りでなにやら楽しそうにしている。近づくとどうやらスカンポを吸うているらしい。昔を懐かしむかのように語らう姿は微笑ましいものだ。
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2024/4/27 18:59
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お勤め
猫に餌やらねばならぬ朝寝かな
二度寝ほど気持ちいいものはない。
ところが、いくら自由の身とは言え時間にしまりがなくては懈怠の精神が肉体に宿ってもう後戻りできないほど自堕落な人生に落ちそうである。
辛うじてそれを救ってくれるのがペットの存在だ。五匹の猫の食は飼い主に完全に依存している。五つの命の命運を握る責任者としてはもっと寝ていたいと思うところをぐっとこらえてベッドを出る。
出ればいつものルーチンがスタートする。どれひとつとしてかけることのないお勤めである。
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2024/4/26 19:33
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夢中
夕映えのげんげ畑の立ち話
一面が紫の田が目を引いた。
いつもなら素通りするところ、遠回りして近づいてみる。
近所の主婦と見える三人組は見飽きたであろう蓮華草には見向きもせず、暗くなろうとしている時間をなお井戸端会議中の様子。
バイクを停めて見入っている人間もまったく目に入らないらしい。
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