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2024/3/29 17:00
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様子見
芽起しの雨のやうやう去りにけり
冷たい長雨がようやく終わった。
暗鬱とした気分に滅入っていたが、庭の梅の芽吹きにこころ開かれる新鮮な感動がある。
今日はいっきに気温二十度を超え、外にいると暑いくらいなのに着ているものは冬のままであるのが可笑しい。暖かくなったと要っても体はまだ早いと言っているようでもう少し様子見が続きそうである。
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2024/3/28 19:00
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巧まざる美
丈低きものらすべたるうしはこべ
冬の間地面を這いつくばっていた草たちがどっと起きてきた。
おおいぬのふぐり、たんぽぽ、ほとけのざ、姫踊り子草、などなどどれも花をつけて我が世の春を競うようである。カラフルで野が巧まざる美にあふれているようだ。
なかでもはこべはすっくと伸びて、白い花を誇らしく突きだしている。それぞれが混じり合って咲いているなかにあって、ひときわ背が高いので春の野道の代表みたいな雰囲気をまとってもいる。
はこべが咲く土は何でも育つと言われ、そういう意味でも春の野草の筆頭であろうか。
葉は兎とか鶏の餌になるし、また干せば薬用、それに春の七草のひとつと昔から庶民の馴染みでもあろう。
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2024/3/27 19:34
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春仕様
何作るあてなき蓬摘み帰る
何日ぶりのお日さまだろうか。
やることが多くて朝から忙しい。一日じゅう体を使ったせいか、夕飯がよく入ること。こんなことは久しぶりのことで、心地いい疲労感が心身を満たしている。
これからは最低気温も十度を切ることがないようで、それを聞くと体もだんだん春仕様になってくるようである。明日は雨のようだから少し体を休めてエネルギーを溜め込むとしようか。
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2024/3/26 19:18
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使い切る
降りやまぬ街浮かびけり春の雷
雨の一日のハイライトが雷だった。
稲光りといい音といい、現象面から言えばこれはもう夏のものと変わらない。一度ならず、何度も光った。
例によってうたた寝中の猫どもはどこへ身を隠そうかと右往左往している。猫は大きな音が恐いのである。めいめいがそれぞれの場所にもぐり込んで雷が遠ざかってもしばらくは出てこなかった。
長かった雨も甲子園球場では午後から再開できるほど雨雲が遠くに去り、明日は久しぶりの晴になるという。ただその次の日はまた雨らしく、明日は束の間の晴れをフルに使い切る日としたいものだ。
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2024/3/25 17:41
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老いに添う
春泥を避ける分別いつよりぞ
年寄りの冷や水という言葉がある。
歳がらにもなく無理をして体を痛めたりすること。「それ、みたことか」と笑われるおちがついた慣用句である。
水たまりやらぬかるみがあれば、若い頃ならば一気に跳んでみせたり、あるいは少々足を取られても突っ切ってゆくことも怖れなかったが、さすがに今はもう無理だ。
降参、降参とばかり回り道をゆくか、引き返すか。
そんな分別というか、弁えというものをいつの間にか身につけて、これを悲しむか、諾うか。
だんだん心も老いに添うてきたように思うこのごろである。
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2024/3/24 19:58
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不順
春霖や順延につぐ順延に
よく降る雨だ。
三月に入って季節のリズムが狂ってしまっている。
二月が馬鹿陽気な日が多かっただけに、この落差はよけいに大きく感じる。
農作業にも間違いなく影響をおよぼすにちがいなく、春野菜などには大きな打撃となって市場の混乱も避けられないのではなかろうか。
本来なら今ごろは夏野菜の苗作りたけなわなのだが、雨と低温のダブルパンチで育苗が全然進まず頭が痛い。とにかく低温の日が続くので発芽をもたらす温度が確保できないときた。通常なら三日ほどで発根するところ、今年は一週間経ってもうんともすんとも言わずもしかしたら種自体にも問題があるのではないかとさえ怯えてしまう。
例年だと苗箱などをベランダなどで日光にたっぷり宛てるところ、こう寒くては戸外に置いておくわけにもいかず、部屋を占領していると家人からすこぶる評判も悪い。
農とはしみじみ天候に左右されるものだと今さらながら実感しているのである。
春の甲子園でも二日続きの順延となった、過去にこうしたことはあったのだろうか。
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2024/3/23 19:25
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思い出づくり
雨の日の記憶ばかりの春休み
雨の日がつづく。
しかも雨の日にかぎって寒く、春はいったいどこへ行ったのか。
卒業して新たなステップに弾みをつけたい人たち、進級して一年上級生になる人たちにとっては、短い春休みにどうやって過ごそうかとわくわくしていたろうが、出鼻をくじかれることになったはずである。
それはわれら高齢者とて同じこと。彼岸も過ぎて暖かくなったらやらねばならぬこと、やりたいことはいっぱいある。
今年卒業した大学生などはコロナ禍で入学以来しばらく校舎での授業も受けられれず、新しい友に出遭うこともなかっただけに最後の思い出づくりに影を落とさないことを願う。
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2024/3/22 19:10
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新風
標準木見上げ嘆息花暦
開花予想日がうろうろしている。
当初は21日だったがその後24日、今日などは27日かもしれないとか。予報士泣かせの気象のようである。
咲けば咲いたであわただしい気分この上ないが、それもあっという間に終わってしまうのも桜である。
この世の中右を見ても左を見てもろくなことがないが、新入幕力士の躍進、甲子園の溌剌プレー、ちょっと心配だが新天地の翔平君、などなど爽やかな新風、薫風でまぎらすことができればいいが。
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2024/3/21 19:17
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予感
開かんとすれど冷えにし姫みずき
日向ミズキの別名である。
ようやく蕾がふくらんできたのでまもなく咲くかと楽しみにしていたのだが、この寒さに足踏みをしているようである。
隣に植えてある雪柳はとうに白い花を見せているので、日向ミズキ独特のやや緑がかかった黄色が加わるのが毎年の楽しみなのである。
今日も何度か雪の混じった雨の日。昼間はかろうじて日が出たものの夕方になるとぐんぐん冷えてきて、これはもう真冬の寒さとなった。何度も霜にあたりながら順調にきていたエンドウも、さすがに二日連続の冷え込みに先端の芽がやられてぐったりしているのが哀れだ。この分だと今年の農家も天候には苦労させられるようないやな予感がしてならない。
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2024/3/20 17:44
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道の駅
雨寒し春分の日の甲子園
お彼岸の小菊買うなる平群かな
たまに日射しはあったものの。
雨かさもなくば曇、しかも強風である。午後には雪交じりの雨も加わって、昼夜の時間が半ばする日と言うのにその昼夜の区別もつかない空模様である。
この春から低反発のバット採用となった甲子園。ただでさえ飛距離がでないのに右から左への強風。そんななかでも選手はしっかり風に負けないプレーで全力をぶつけ合ういい試合が続いた。
大会ホームランも激減して、これから勝ち進むにつれて、きっときめ細かいベースボールが増えてくるだろう。見どころ満載である。
ところで、お隣の平群は小菊の山地。保ちがだんぜんいいし安いから、仏壇のお花も平群の道の駅で買う。この時期道の駅は奈良特産イチゴ「古都華」を求める人で満車、大阪ナンバーも押しかけてくるぐらい人気でなによりなことである。
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2024/3/19 19:15
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放置
プランターのきのふ無かりし蒲公英黄
突然長年使っているプランターに蒲公英が咲いた。
植えっぱなしのニラもさすがに今年あたりは植え替えしなければと思いつつそのままになっていた。そこに今日突然に黄色い蒲公英がひとつ、それもかなり大きいのが咲いて目を引きつけたのだ。
花が咲くということは、種が飛んできて根を下ろし葉っぱも十分ひろげているわけで、少なくとも半年以上、いかに毎日目をかけてないかがばれてしまった。
蒲公英の根は太くて真っ直ぐなのが深くまで張るうえ、多年草だからこのまま放置するととんでもない大きさの根に成長してしまってプランター全体を占領しかねない。
この雨が止んだら、ニラの株分けを兼ねてプランターの土も更新してやらねばと思う。
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2024/3/18 16:51
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親の目
卒業のともに制服つんつるてん
昼前に子供たちが下校してくる。
胸に大きなピンクのリボンをつけてもらって肩を並べて歩く父兄も着飾っている。
どうやら当地の小学校の卒業式があったらしいと分かる。
小学校六年生となれば急に身長が伸びてきて親たちとたいして違わない子も多くなった。
公立ながら制服の決まりがある学校なので、そんな子たちは制服の上着も下の半ズボンもパツンパツンにはちきれている。
この子たちが四月になって中学入学ともなると、今度は一転してダブダブの袖にぶかぶかの長ズボンの制服に替わるにちがいないと思うと、親の目になって子供たちの成長がまぶしく見えてくるものだ。
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2024/3/17 19:09
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根雪
嫁ぎ来し国を呪ひし雪解どき
母の口癖だった。
三月の今ごろになると、雪解けでなにもかもが泥に覆われるかつて暮らしていた北陸の土地を嫌った。新婚当時夫(私にとっては父)の仕事に従って異国にやって来たが、この根雪が解けた泥濘の暮らしを一番嫌った。このことを後年何度聞かされたことか。
昔とちがっていまの北陸には根雪はほぼなく、降ってもすぐに解けてしまうらしいので雪解けに難儀するということはもうないはずであろうが。
私の生まれたその日は大変な大雪であったそうな。
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2024/3/16 17:46
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着々と
触るるもの蔓にからませ豆の花
防寒に仕立てた藁であろうが、笹であろうがお構いなし。
気温が上がってきて豆の蔓がぐんぐん伸び出した。早いものはもう花をつけている。花が終わるといわゆるえんどう豆。若い莢のままを採れば絹さや、青い実まで待てば実豆。最近は絹さやと実エンドウのいいとこ取りのスナップエンドウもでてきて賑やかな春の畑をいろどる。
ここ二日ほどの好天をさいわいに春の農作業が着々と進む。
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2024/3/15 19:14
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棚上げ
メガソーラー工事中断山笑ふ
遠目にも痛々しい。
今日のように天気がいい日はなおさらだ。
ソーラー発電基地を作る計画で始められ山膚がざっくりと削られてから、詳細を知らされてなかった住民が反対して開発を許可した県も棚上げせざるをえなくなった土地だ。
山土が剥きだしになったまま、周囲が芽吹きの兆しをみせていよいよ山にも春がやって来る。
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2024/3/14 19:08
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e-TAX
東風のビルくぐりてもらふ処方箋
申告書投げ込む東風のポストかな
天気図は素晴らしかった。
しかし気温は期待ほどは上がらず、しかも強い東風。
毎度そうなのだが、やはり確定申告書なるものは締め切りギリギリまで腰が上がらないのは悪い癖である。
e−TAXを使えばスマホでも提出可能なのだが、生保など各社との連携を事前に済ませることが必要で、これが去年でもそうだったけどどうしてもうまくできないのである。会計ソフトなど使えばデータは簡単に作れるので、ここでいつも引っかかる。
結局すったもんだのあげく二時間もロスして、毎度の郵送提出となった。
去年までは国税奈良支部宛てなのだが、今年からは大阪の税務署となっている。悪評プンプンのインボイスのせいで大方はデジタル化に移行したせいだと思うが、例外の郵送申告の事務もまとめて一括処理しようということだろう。
さいわいビジネスがコンパクトでインボイス処理が不要事業者であるのがさいわいして、おおきな問題もなく申告したのであるがさて無事にパスするだろうか。
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2024/3/13 19:59
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発祥は
春めくやこんなところに瓦蕎麦
竹内街道の近く、当麻の道路沿いの何の変哲もないところに瓦蕎麦の看板。
珍しい店があるもんだと思って調べたら、瓦蕎麦の発祥は山口県らしい。
関東でもやはり見たことはなかったのが合点がいった。また、どこかローカルのイメージがあるうえ、蕎麦よりむしろうどん圏の関西で見かけるのは意外なことである。
蕎麦と言えばざるというイメージなのでいつも通り過ぎるだけで終わるが、春になったことでもあるし次の彼岸参りのついでにでも寄ってみるのは悪くない。
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2024/3/12 19:57
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一変
河津桜目当ての臨時駐車場
今日は朝から冷たい雨でクリニックへ薬もらいに行っただけ。
そこで一昨日のネタになってしまうのは仕方がない。
ふだんなら渋滞がないところを、信号待ち何回か。なぜかな?と考えてみれば近くには県立公園がある。すると、この時期は何だろうかと考える。
梅か?いやこれはもう終わってるはず。そこでまた考える。(渋滞で考える時間はたっぷうりある)。
あ、そうかとガッテンのこぶしを打つ。新名物「河津桜」だ。幼木がこのほど数年で花をつけるようになって年々人気があがってるようだ。たまたま日曜日の人出に遭遇したのが原因。
たしか、越してきてまもなくの春、やたら混むなと思ったらその公園のチューリップ祭とぶつかったのだった。
当地は、平日の道路はスムーズに流れるが土日となると一変する。どこへ行くのか知らないが、あちこちで渋滞にはまってしまう。行楽の少ない土地だけにいったいどこへ出かけるのか不思議でならない。
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2024/3/11 19:30
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シニア女性
シニアらのラヂヲ体操暮遅し
昨年完成したシニア用公園からラジオ体操が聞こえる。
近くの団地のシニア会だと思われるが、いつも六、七名ほどが午後五時を知らせる街の防災放送を合図に集まってきているようだ。冬の間は四時ごろだったと記憶するが徐々に日が伸びてきて、春分の日だって近い。
最初の頃は男性もいたようだが、今はどういうわけか女性ばかり。女性長寿の傾向を反映してか、男性はここでも萎縮しているのかもしれない。
腰から来る間欠性跛行の症状があるので長い時間を歩けず、腰を屈曲するなどすると症状が治まり再び歩けるようになるので、いつも休憩を取る公園だ。元気な女性陣を横目に強ばった独り腰をほぐしているのも情けないものだ。
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2024/3/10 19:37
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二物
飛ぶよりは駆けるが捷ききぎすかな
飛ぶのは上手ではないのかもしれない。
どういうわけか雉を目撃するのはいつも二足で走っている姿で、本人は真剣に逃げているつもりなだろうが、がに股で走る姿は滑稽そのもので毎回吹き出してしまう。むかしに流行ったコマーシャル、あのエリマキトカゲの爆走の姿にそっくりなのである。
考えてみれば、トカゲも鳥も恐竜の末裔だから、当たり前と言えば当たり前なのだが。
鳴かなければ撃たれずというが、どうにも雉はどんぐさそうでこれでは簡単に人間の餌食になってしまうと言っていい。
雄のあの優美な姿をもらった分だけ、ちゃんとプラマイゼロになって二物を与えられるものはそうはいないということでだ。
大和川河原にもちゃんと雉が棲み着いていて、その大和川河原は今真っ黄色い西洋芥子菜の花で覆われている。
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